人に寄り添うコツがつかめない方へ
~頭でわかることと、感覚でわかることの違い~

夫婦やパートナー
お子さん
仕事の同僚やお客さまなどから
「もう少し気持ちに寄り添ってほしい」
「話を聞いてほしかっただけなのに」
「気持ちをわかってもらえない」
そんなふうに
言われたことはありませんか。
自分では
ちゃんと話を聞いているつもりだった。
相手のことを
考えていないわけでもない。
むしろ相手のために
どうしたらいいか考えていた。
それなのに
「寄り添ってくれない」
と言われてしまう。
そして
「寄り添うって
結局どうすればいいんだろう」
と、わからなくなってしまうことがあります。
寄り添い方は、頭ではわかっている
人に寄り添う方法
について調べてみると
「相手の話を否定しない」
「まずは気持ちを受け止める」
「すぐにアドバイスをしない」
といったことが書かれています。
確かに
その通りだと思います。
「それはつらかったね」
「大変だったね」
そんな言葉をかければいいことも
頭ではわかっている。
でも実際に人と話していると
「これで本当に寄り添えているのかな」
と感じる方もいるかと思います。
言葉としては
間違っていないはずなのに
どこかしっくりこない。
相手の反応からも
これでいいのか
いまいちはっきりわからない。
むしろ
解決してあげたほうが
いいんじゃないかとすら思うかもしれません。
つらそうだから、解決してあげたくなる
たとえば相手から
「仕事ですごく嫌なことがあって、つらかった」
と言われたとします。
そんなとき、
「そんなに気にしなくてもいいんじゃない?」
「こう考えれば少し楽になるよ」
「上司にこう言ってみたら?」
「それなら仕事を変えることも考えたら?」
そんなふうに
答えたくなるかもしれません。
それは決して
相手の気持ちを
無視しているわけではないと思います。
むしろ
相手がつらそうだから、なんとかしてあげたい。
そう思っているからこそ
解決する方法を
一生懸命考えてのことでしょう。
でも相手はそのとき
問題を解決してほしかったのではなく
「それはつらかったね」
と、その気持ちを
わかってほしかっただけかもしれません。
そこで二人の間に
少しずつズレが生まれます。
答えが見つからないと、考え込んでしまう
反対に
「どうしたらいいんだろう」
「何て答えればいいんだろう」
と考え込んでしまう人もいます。
相手を助けたい。
何か言ってあげたい。
でも、いい答えが見つからない。
すると相手の話を聞きながら
自分の中で一生懸命
「正しい答え」を探すことになります。
黙り込んでしまったり
難しい顔をして
考えたりすることもあるでしょう。
ところが相手からすると
「聞いてくれていない」
「私の気持ちには興味がないのかな」
「やっぱりわかってもらえない」
と感じてしまいます。
自分は一生懸命
相手のために考えている。
でも相手は
わかってもらえないと感じている。
そうすると
相手を大切にしたくないわけではないのに
すれ違ってしまいます。
「つらい」をなくそうとしなくてもいい
こうしたとき
「つらい状態はよくない」
「だから早く楽にしてあげなければ」
と考えたくなるかもしれません。
白か黒か
良いか悪いか
という考え方が強くなっていると
つらい状態から
できるだけ早く良い状態へ
と考えやすくなります。
でも、人の気持ちは
いつもすぐに変えられるものではありません。
悲しいときには、悲しい。
腹が立っているときには、腹が立っている。
不安なときには、不安を感じている。
その気持ちを
すぐに別のものへ変えようとするのではなく
「今はそう感じているんだね」
と、そのまま一緒にいる時間が
大切だと言われています。
寄り添うというのは
相手の考えに賛成することでも
どちらが正しいかを決めることでも
問題を解決してあげることでもありません。
相手の中に今あるものを
「そう感じているんだね」
と、そのまま受け止めること。
そこから始まります。
「そのままでいい」というのがわからない
ここまで読んで、
「言っていることはわかる」
ただ
「それで本当に寄り添っていることになるの?」
と思う方もいるかもしれません。
そして
それがよくわからない自分は
「人の気持ちがわからないのかな」
「何かが足りないのかな」
と思ってしまうかもしれません。
でも、そうではありません。
人に寄り添う感覚は、
誰かに寄り添ってもらった経験を通して
身についていくことが多いです。
つらかったときに
「そんなに気にしなくてもいいよ」
と気持ちを変えられるのではなく
「それはつらかったね」
と、そのまま受け止めてもらった。
悲しかったときに
「こう考えればいいじゃない」
と答えを出されるのではなく
悲しんでいる自分のそばに
ただ一緒にいてもらった。
そうした経験があれば
「寄り添ってもらうって
こういう感じなんだ」
という感覚を知ることができます。
反対に
そうした経験があまりなければ
「寄り添ってほしい」
と言われたときに
何をすればいいのかわからなくなるのは
ある意味では
自然なことかもしれません。
それは
あなたの何かがおかしいからでも
人として何かが欠けているからでもなく
ただ
「寄り添ってもらうって
こういう感じなんだ」
ということを
これまで感覚として知る機会が
少なかっただけなのかもしれません。
まず、自分が寄り添ってもらう体験をしてみる
カウンセリングには
「フォーカシング」という方法があります。
フォーカシングでは
自分の中にある
まだうまく言葉にできない気持ちや感覚に
少しずつ注意を向けていきます。
「なんだか胸のあたりが重い」
「モヤモヤする」
「うまく言えないけれど、何か引っかかっている」
そんなものを
「そんなことを考えてはいけない」
「こう考えればいい」
「早くなくさなければ」
と変えようとするのではなく
今、自分の中にそういう感じがあることを
そのまま見ていきます。
カウンセラーも
「こうすれば解決しますよ」
とすぐに答えを出すのではなく
その人が感じているものを
一緒に確かめていきます。
「何も解決していないのに、少し楽になった」
フォーカシングをしたからといって
抱えている問題そのものが
その場ですぐになくなるわけではありません。
それでも
「ちゃんとわかってもらえた気がする」
「自分でも、自分の気持ちが少しわかった」
「何も解決していないのに、少し楽になった」
そんな感覚になることがあります。
何かを教えてもらったから
楽になったわけではありません。
正しい答えを
出してもらったわけでもありません。
自分の気持ちを否定されたり
別のものに変えようとされたりせず
ただそこにあるものとして
一緒に感じてもらえた。
その体験をすると
「ああ、寄り添ってもらうって
こういう感じなのか」
と、少しずつわかってくるようになります。
私は、この体験の中に
「寄り添う」ということを
感覚として理解するヒント
があると思っています。
寄り添われることが、寄り添う練習になる
人に寄り添うことが
苦手だからといって
相手を大切に思っていないことにはなりません。
むしろ
「なんとかしてあげたい」
「少しでも楽にしてあげたい」
という気持ちが強いからこそ
一生懸命
答えを探してしまう人もいます。
ただ
寄り添うことには
必ずしも答えは必要ありません。
相手の気持ちを変えなくてもいい。
すぐに楽にしてあげなくてもいい。
何が正しいのかを決めなくてもいい。
まず
「今、この人はこう感じているんだな」
と、その気持ちのそばにいる。
でも、それがどんな感覚なのかわからなければ、
まずは自分自身が
寄り添ってもらう体験をしてみるのも
一つかと思います。
そこで
「答えを出してもらわなくてもいいんだ」
「解決してもらわなくても
こんなふうに楽になることがあるんだ」
ということを知る。
その経験が
今度は誰かの話を聞いたときに
すぐに答えを探さず
その人の気持ちのそばに
いられることにつながっていく。
頭で
「寄り添わなければ」
と覚えるだけではなく
「寄り添うって、こういうことなのか」
と感覚でわかるようになる。
寄り添うコツがつかめない
そう感じている方にとっては
寄り添い方を覚えることよりも、
実際に寄り添ってもらうことから始めてみる。
そういうやり方も
一つの方法としておすすめしています。
フォーカシングはどこで受けられる?
フォーカシングを体験してみたい方は
フォーカシングを取り入れている
カウンセリングルームにて受けることができます。
カウンセラーのプロフィールや
得意とするカウンセリングの方法などに
「フォーカシング」と書かれているか
確認してみるといいでしょう。
フォーカシングという方法は
ワークショップという形で体験することもできます。
その場合は
日本フォーカシング協会というところで探すことができます。
フォーカシングという方法について知りたい
という方は
という本がおすすめです。
ただ心のカウンセリングでも
フォーカシングを体験できますので
ご希望の方は
お気軽にご連絡ください。
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