感情移入しすぎてしんどくなってしまう方へ
~相手の気持ちに飲み込まれて
人間関係に疲れていませんか~

人がつらそうにしていると
自分まで苦しくなってしまう。
パートナーが落ち込んでいると
そのことが
頭から離れなくなる。
子どもが
学校や人間関係で悩んでいると
自分のこと以上につらく感じてしまう。
テレビで
事故や災害のニュースを見るだけでも
その人や家族の気持ちを想像して
しばらく引きずってしまう。
そんなふうに
相手の気持ちに感情移入しすぎて
しんどくなってしまう方がいます。
「人の気持ちに敏感だから」
「共感力が高いから」
そう考えることもできるかもしれません。
でも、カウンセリングで
お話を聞いていると
それだけではないように感じることがあります。
子どもの頃から
親の機嫌を気にしてきた。
怒っているのか
機嫌がいいのか
今話しかけても大丈夫なのか。
そんなことをいつも考えながら
過ごしてきた方です。
自分から人の気持ちを
気にするようになったというより
そうしなければ
安心して過ごせなかった。
そんな経験が
関係していることがあります。
気づくと、いつも相手の気持ちを見ている
子どもの頃から
親の機嫌を読んでいると
相手の表情や声の調子
ちょっとした態度の変化に
自然と意識が向くようになります。
これは
「相手の気持ちを読もう」
と意識して
やっているわけではありません。
気づいたときには、
「怒っているのかな」
「何かあったのかな」
「私が何かしたのかな」
と考えています。
そして大人になってからも
その感覚が
自然と続いてしまいます。
パートナーに少し元気がない。
子どもの表情が暗い。
職場の人の返事がいつもよりそっけない。
そんな小さな変化にも
自然と意識が向いてしまいます。
相手がつらそうにしていると
ただ「つらそうだな」
と見ていることができなくて
自分の中にも
不安や苦しさが広がっていきます。
相手を何とかしてあげたくなる
大切な人が苦しんでいたら
助けてあげたい
と思うのは自然なことだと思います。
でも
相手の気持ちに飲み込まれてしまうと
「何とかしてあげたい」
から
「何とかしなければ」
に変わっていくことがあります。
落ち込んでいるパートナーを励ます。
悩んでいる子どもに解決方法を教える。
「そんなふうに考えなくても大丈夫だよ」
と考え方を変えさせようとする。
できるだけ嫌なことが起きないように
先回りして動く。
もちろん、そこには
相手を大切に思う気持ちがあります。
ただ、その一方で
相手がつらそうにしている姿を
見ていることに
自分自身が耐えられなくなっている
こともあります。
相手の苦しさを
なくしてあげたい気持ちと
相手の姿を見て
苦しくなっている自分の気持ちを
何とかしたい。
この二つが
混ざってしまうことがあります。
家族が気持ちを見せなくなることもあります
こうしたことが続いていると
パートナーや子どもの側にも
変化が起こることがあります。
「つらいと言うと心配させてしまう」
「悩んでいると言うと
すぐに何とかしようとされる」
「落ち込んでいると
元気になるように言われる」
そう感じるようになると
本当はつらくても
「大丈夫だよ」
と言うようになることがあります。
家の外では
気持ちを出せているのに
家族の前では
元気そうに振る舞うこともあります。
これは
どちらが悪いという話ではありません。
心配する側も
相手を大切に思っている。
気持ちを隠す側も
相手を心配させたくないと思っている。
お互いを思っているのに
少しずつ本当の気持ちを見せにくい関係に
なってしまうことがあります。
相手の気持ちと、自分の気持ちを分けていく
感情移入しすぎて
苦しくなってしまうときに大切なのは
人の気持ちを
感じないようになることではありません。
相手が悲しんでいるのを
何とも思わない人になる必要もありません。
まず必要なのは
相手の気持ちと
自分の中に生まれた気持ちを
少しずつ分けて見られるようになることです。
「この人は今、つらいんだな」
そして
「その姿を見て、私は不安になっているんだな」
この二つは
同じものではありません。
相手には相手の気持ちがあり
自分には自分の気持ちがあります。
その違いが
少しずつ見えるようになると
相手が落ち込んでいるからといって
すぐに
元気にさせようとしなくてよくなります。
自分の気持ちを、そのまま抱えていられるようになる
もう一つ大切なのは
自分の中に出てきた
不安や苦しさを
すぐになくそうとしなくても
いられるようになることです。
「心配だな」
「怖いな」
「何とかしてあげたいな」
そう感じている自分を
良いとも悪いとも決めずに
見ていきます。
不安がなくなるまで考え続けるのではなく
不安があっても、
そのまま少し過ごせるようになる。
それができるようになってくると
相手の気持ちについても
同じことができるようになっていきます。
パートナーが落ち込んでいても
「今はつらいんだな」
と、そのままそばにいられる。
子どもが悲しんでいても
すぐにその悲しみを取り除こうとせず
悲しんでいる時間を一緒に過ごせる。
相手の気持ちを感じないようになるのではなく
相手の気持ちを感じながらも
自分は自分でいられるようになる。
そこを目指していきます。
考え続けていると、自分の気持ちがわからなくなる
ただ
「自分の気持ちを感じてみましょう」
と言われても
なかなかできない方もいます。
それは
頭の中がいつも忙しいからです。
今起きていることへの不安。
これから起こるかもしれないことへの不安。
過去にしたことへの後悔。
「あれでよかったのかな」
「違う言い方をすればよかった」
という自分責め。
こうしたことをずっと考えていると
頭の中に余裕がなくなります。
すると
「自分は今どう感じているんだろう」
と、自分の気持ちに意識を向ける余裕も
なくなってしまいます。
そのためカウンセリングでは
気持ちを探そうとするだけではなく
まず、考え続けなくてもいられる時間を
少しずつ作っていくこと
も大切にしています。
「正しい答え」を探し続けなくてもいい
考え続けてしまう方の中には
「これは正しいのか、間違っているのか」
「自分の考えは合っているのか、おかしいのか」
「こうしたほうがいいのか、しないほうがいいのか」
と、物事を白黒はっきりさせようとする方が多いです。
答えが出れば
少し安心できるからです。
反対に
「わからない」
という状態のままでいることは
とても不安に感じます。
でも実際の人間関係には
すぐには答えが出ないことも
たくさんあります。
相手がなぜ落ち込んでいるのかわからない。
この先どうなるのかわからない。
今は何をしたらいいのかわからない。
そんなとき
無理に答えを出そうとするのではなく
わからないことを
わからないまま
少し置いておけるようになること。
それも、相手の気持ちに飲み込まれにくくなるために
大切なことだと思っています。
今まで自分を守ってきた鎧を、少しずつ脱いでいく
ここまで読んで
「だったら考えないようにすればいいんだ」
「相手を気にしなければいいんだ」
と思うかもしれません。
でも、そんなに簡単なことではないと思います。
子どもの頃から
相手から怒られないように察する。
問題が起きる前に考える。
相手がつらくならないように先回りする。
そうすることで
自分を守ってきたからです。
それは長い間
自分を守ってくれていた
鎧のようなものだったのかもしれません。
その鎧を脱ぐことは
楽になることだけではありません。
「これをしなくなったら、どうなるんだろう」
「何を頼りにすればいいんだろう」
と、とても不安になるかと思います。
今までのやり方を手放すことは、
どうすればいいかわからない場所に
急に放り出されるような感じに近いです。
だからこそ
一気に変えようとする必要はありません。
一人で急いで変えなくても大丈夫です
カウンセリングでは
「もう相手のことを気にしないでください」
とお伝えするわけではありません。
今までそうしてきたことにも
その人なりの理由があります。
だから
今この状況ではどう過ごしたらいいのか。
相手に何かしてあげたほうがいいのか。
それとも、今は見守っていていいのか。
自分の中に出てきた不安を
どう捉えたらいいのか。
その時その時に起きていることを
一緒に確認しながら
どうするかを考えていきます。
そうしながら少しずつ
考え続けなくても大丈夫だった。
相手が落ち込んでいても大丈夫だった。
すぐに何とかしなくても
関係は壊れなかった。
そんな経験を重ねていきます。
今まで自分を守ってきた鎧を
無理に脱ぐのではなく
「ここでは少し脱いでも大丈夫かもしれない」
と思えるところから
少しずつ変えていく。
そうしていくことで
相手の気持ちを大切にしながら
自分の気持ちも大切にできるようになっていきます。
人の気持ちを感じやすい自分を
なくす必要はありません。
相手がつらそうなときにも
「つらいんだな」
と感じながら
その気持ちに飲み込まれずに
そばにいられる。
そして自分の中に不安が出てきても
すぐに何とかしようとせずに
その気持ちを抱えていられる。
そんなふうに変わっていくことで
人の気持ちを感じることそのものが、
今までほど苦しいことではなくなっていきます。
関連ページ
相手の気持ちに
飲み込まれてしまうときには
「どうするのが正しいのか」
「自分は間違ってないか」
「このままで大丈夫か」
そんなふうに
考え続けてしまうことがあります。
その背景には
物事を正しいか間違いかで考えたり
あいまいな状態のままでいることに
不安を感じやすかったりすることがあります。
そのような方は
こちらのページも参考になるかもしれません。
~間違っていないかと考えすぎて、人間関係で疲れていませんか~
また
相手の表情や機嫌に
自然と意識が向いてしまうことには
子どもの頃から
親の機嫌を気にしたり
周りに合わせたりして過ごしてきたことが
関係している場合もあります。
「特別につらい家庭だったとは思わないけれど
なぜかずっと生きづらかった」
そんな方は
こちらも参考にしてみてください。
ここまで読んで
「なぜ人の気持ちを
気にしすぎてしまうのか」
「なぜいつも考え続けて
しまうのか」
少しずつ分かってきた方の中には
これまでにも
本を読んだり
ネットで調べたり
自分なりに考えたりしながら
自分の生きづらさについて
向き合ってきた方もいるかと思います。
それでも
「頭ではわかってきたけれど
なかなか同じことをやめられない」
「自分のことは
少しわかってきたけれど
まだ何か違う」
「もう少し何かあるような気がする」
そんなふうに感じている方は
こちらのページをご覧ください。
